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「タバコは20歳になってから」「未成年者の喫煙は法律で禁止されています」
喫煙者は沢山税金を払っている?!


 長山和枝衛生士コラム
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毎日をちょっと楽しく過ごす工夫
心のつながり
4月、義歯と保険改定
感謝する、と言うこと
感謝する、と言うこと・2
通勤時間って
お盆から学ぶ

院長のコラム


 「タバコは20歳になってから」「未成年者の喫煙は法律で禁止されています」

喫煙防止教育のセオリーでは、「大人になってから」は禁句とされています。ちょっと背伸びがしたい子供達にはこれらの謳い文句は魅力的ですよね。これらの言葉は一見子供達をタバコから守るようにきこえますが実際には抑制効果はほとんどありません。これらの言葉について、小・中・高校生は、「なんとも思わない」と感じている児童生徒が3〜4割もお り、「むしろ吸いたくなる」と答えている児童生徒も4〜8%います。実は以前JTは「ハタチまで待って楽しい煙の輪」こんなキャンペーン展開をしていました。
このようなキャッチフレーズなどを見ていると「20歳になってから吸ってください」はもちろん、未成年者にも本音では吸ってもらいたいのでは?と思われるような広告展開をしています。ほかにもたとえば、自動販売機。年齢認証なしでタバコを自由に買える国は先進国ではごくわずかです。また、商品購入ボタンやコイン投入口も必要以上に下のほうに位置されているのは子供が買いやすいようにしているのでは?などとうがった見方をされかねない構造の物も散見されます。さらには好感度タレントの上位に名を連ねる常連さんの中にはかっこいい喫煙シーンやトーク番組でひっきりなしに吸う姿も「かっこいい大人=タバコ」という間違ったイメージを与えかねません。
このようにタバコは子供たちにとって好奇心をそそられる情報が至る所に散らばっているのです。

その結果喫煙開始年齢の低年齢化はどんどん進んでいます。喫煙開始年齢が若ければ若いほどより依存度が強くなってきます。子供は毎月1本以上吸うようになると、女子ではその21日後、男子では183日後に「吸わずにいられない」状態に移行するという研究結果も出されています。(Development of symptoms of tobacco dependence in youths: 30 month follow up data from the DANDY study。Tob Control.2002 Sep;11(3):228-35.)そして厚生労働省の調査からは10代で喫煙が習慣化した人がタバコの依存症になる確立は62%という高い結果が報告されています。

そして禁煙しても再喫煙率が高いのもこの世代の喫煙者の特徴です。若年者から喫煙を開始すると心理的中毒者にもなりやすく喫煙習慣が体に定着しやすく、ヘビースモーカーも未成年からの喫煙者に多いこともわかっています。当然。身体が出来上がっていない時期からの喫煙習慣は、成人になってからのそれよりも身体を蝕むスピードは速いです。肺癌を例にとると19歳までに吸い始めた人は、人口10万についての死亡率が131で、吸わない人の23と比べて6倍もの高さです。その他にも老化を早めたり、成長を妨げる作用が報告されています。

では、私たち歯科医院でこの事を防ぐための手助け(防煙教育)が少しでも出来ないでしょうか?

幸い、歯科医院ではメインテナンス制度を取り入れている所も増えていると思います。この時間は患者さんと会話することをも多く、生活環境に踏み込んだ会話をすることも少なくないでしょう。そこでチャンスです。この時期はまだ、周囲のタバコ煙を不快に思っていることも多く、タバコについての正しい知識を教えると大抵の場合、タバコに興味は持ちません。また、子供によっては自分の親に禁煙を勧めてくださることも珍しくはありません。喫煙者も本心ではやめたがっている事も多いので素直に聞いてくださいます。このタバコについての正しい知識を与えることは結構難しいように感じますが、喫煙者を禁煙させる事に比べれば簡単です。

最近、路上で制服を着たまま堂々とタバコを吸う方が見かけられますよね。皆さんご存知と思われますが「未成年者喫煙禁止法」の第三条に
一.未成年者に対して親権を行う者情を知りて其の喫煙を制止せざるときは科料に処す
二.親権を行う者に代わりて未成年者を監督する者亦前項に依りて処断す
とあります。つまり、未成年者の喫煙行為を知りながら禁煙を支援しない場合は罰金が生じるのです。そんな光景を少しでも減らせるきっかけに歯科医院がなれるといいですね。



  喫煙者は沢山税金を払っている?!

この7月からタバコに掛かる税金が上がりました。喫煙者にとってただでさえ痛いお財布事情。財務省による認定価格販売のため、値引きの絶対にない商品の値上げはつらいですよね。では実際のタバコの価格の内訳はどのようになっているのでしょうか?
JTのHPをみてみるとなんと、製品の6割以上が税金! 国タバコ税、地方タバコ税、タバコ特別税、消費税と、4種類もの税金を払っています。
 JTホームページ 高負担税物品の税負担率比較>> コチラ

他の製品と比較しても突出した高い税率ですよね。この税金がさらに上がるのですから、さぞかし高い税金を払って国に貢献していると思われるでしょうJTによると、昨年度の日本国内のタバコ販売数は2800億本、売上高は3兆9700億円。それに伴う税収は2兆4300億円にも達しています。

これは全税収の約2%であり改めてタバコ税の規模の大きさがわかります。もっとも、戦後などは国税の2割を占めていた時期もありました。これだけ高い税金が掛かっていますが、実際には先進国中でもっとも安くて買いやすいのが日本と言われています。

イギリスのTobacco Manufacturers' Association(TMA)によるヨーロッパ各国と米国でのタバコ一箱の値段はイギリスで707円、アイルランドで610円、フランスで480円、ドイツで430円、スウェーデンで409円、デンマークで400円、フィンランドで385円、米国で496円。300円に値上げしたとはいえ、マイルドセブンがなんと安い事か。

今回の値上げは増税もありますが、2008年より予定されている未成年者喫煙防止を目的とした成人識別自動販売機の全国導入に関わる費用の捻出も含まれているといわれています。しかし具体的な予算案、使途が示されているわけではありません。

では、タバコの原価ってどのぐらいなのでしょうか?世界有数の葉タバコ産地ジンバブエでの買い上げ価格は1kgが1,5ドル。1kgの葉タバコから1200本の紙巻タバコが取れるから20本入り1箱の原価は約3円です。それが1分間に8千本以上を巻き上げる超自動化工場で製品になっていきますから、製造に関わるコストは驚くほど安いです。

事実、おとなりの韓国ではニードトレード社から超低価タバコ「ニード(Need)」が6月から1箱200ウォン(23円)で販売されています。これだけ安くしても利益が出る商品ですから地球上でもっとも儲かる産業と言われるのもうなずける話ですよね。

話がそれてしまいましたが、このように低い税率がもたらすものは何でしょうか?これは国民の浪費に他ならないのです。ちょっと意味がわからないですよね(苦笑)喫煙による経済的損失は、「喫煙直接経費」と「喫煙間接経費」に分けられます。直接経費はタバコ代そのものです。

そして喫煙により間接的にかかる経費を「喫煙間接経費」と呼びますが、何よりも大きな損失は、喫煙により健康が損なわれ、通院・入院したり、仕事ができなくなることです。喫煙者は非喫煙者に比較して寝たきりの期間が平均で5年長いと言われています。さらに平均寿命が7年短い事でその分の労働力も損失されています。

ちょっと古い資料になりますが、財団法人 医療経済研究機構が1993年の医療費を元に試算したところによると、1993年の国民医療費 総額24兆3631億円の約5%にあたる1兆1512億円が、喫煙によってもたらされた疾病の医療費の増加分だとしています。

さらに、東京薬科大学岡教授によると、このような「無駄な医療費」はもっと増加していて、タバコが原因で発病した喘息や肺がんなどの治療には4兆4〜9千億円もかかっており、タバコ税収の年2兆2千億円をはるかに超えているとしています(朝日新聞 2001年7月25日付け『私の視点』より)。 尚、2002年11月には、喫煙による経済損失は年間約7兆4000億円という試算が発表されました。

医療経済研究機構が、たばこが原因の病気の医療費や入院・死亡で失われる労働力を計算したもので、 内訳は以下の通りです。

能動喫煙超過医療費  1兆2900億円
受動喫煙超過医療費 146億円
逸失される労働力の損失 5兆8000億円
火災による損失 2200億円

喫煙者は高い税金を払っていますが、国に貢献していると言うより、無駄使いしているようですね。

今回の値上げは税金が主なものですが、何故、このような中途半端で禁煙に踏み切る事が出来ないような半端な値上げなのでしょうか?背景として明治時代から政府自らがタバコを製造・販売してきた長い専売制度の歴史があります。1985年には一応「民営化」されましたが、財務省が株式の7割近くを保有しており、JTの歴代社長には、財務省の高級官僚が就任していることから、国の喫煙規制は及び腰で、むしろタバコを推進する立場となっているのが実態です。実際、「禁煙は愛」を標語に日本縦断しているマークさんによると、公共施設で一番禁煙が進んでいなかったのは国会議事堂だそう でした。
 Mark Gibbens さん 日本縦断禁煙行脚 >> 詳しくはコチラ

ちなみにイギリスITV放送「ファースト・チューズデー」(1992)によるとタバコのCMに出ていた俳優が、タバコ会社の役員に「なぜあなたはタバコをすわないのですか?」と質問したときに、こんなふうに答えました。
「もちろん、“そんなもの”吸わないさ。俺たちはただ売るだけ。タバコを吸う権利なんざ、ガキや貧乏人、黒人、それからその他のおバカな方々に謹んでさしあげますよ」実際、アメリカや日本では国内でのタバコ販売量は減少傾向にあるが、ロシアやアジアなどへの輸出量が増えている事で売上高を向上させています。アメリカのタバコ会社が、チェコに自社製品(タバコ)売り込もうとした時、「喫煙率が上がれば、高齢者が早死にして年金を節約できる」と言って、大統領を激怒させた事件もあります。
喫煙者の皆さん、今回の値上げを期に「節税」(禁煙)してみませんか?

長山のコラム


 毎日をちょっと楽しく過ごす工夫

毎朝8時40分に家を出て、帰ってくるのは大抵21時頃。
歯科医院って拘束時間が長いですよね・・・と思うのは私だけか、わたなべ歯科だからか。もちろん早く帰る努力もしておりますが、それでも1日の大半を診療室で過ごすことに変わりはありません。毎日向かう診療室。その中での患者さんとのやり取り、院長とのやり取り、スタッフとのやり取りが、私の元気と健康、モチベーション維持の源です。落ち込む源でもありますが・・・。
そんな毎日を楽しく過ごす工夫をしています。どんなに忙しくても、やることが沢山たまっていても、患者さんのことで悩んでいても、院長のことで困っていても、お会いする患者さんの前では心からの笑顔でいたいですから。笑顔を見ることなくお帰りになってしまうと、とても寂しい気が致します。心の健康維持のために、毎日の診療を楽しむために、私がここ最近起こした行動について、2点ご紹介致します。

まずは、医院をキレイに保つこと。これは私の今月の目標でもあります(毎月目標をたてているのです)。そして、何でも楽しんでやろう!と言うのが私のモットー。最初に取り組んだのは主に院長が使用している棚の中、上、周囲でした。当院の院長はとっても勉強熱心なのです。その点はものすごく尊敬できます。でも参加したセミナーの案内、資料、書いたメモ、参加証、ネットから印刷した様々な情報、etc.を山済みにして置いておく癖があるのです。いつかまた参考にする時があるかもしれないから、と。わたなべ歯科に勤務して6年。そんな時はほとんど無い事を私は知っています。そしてまれに訪れたそんな時に、ない!と言って資料の山を書き分け、発掘に失敗する先生のお姿も拝見しているのです。診療の空き時間を見つけては、捨てましたよ。要らないものを洗いざらい。とてもすっきりした気分になったのは、一番乱雑としていた場所がキレイになったからなのか、捨てられて行くものたちを見て悲しい顔をする院長の姿を見られたからなのか。毎日過ごす診療室がキレイになると、心が軽くなって、改めて頑張ろう!と言う気持ちになれるものです。皆様もぜひお試し下さい。ただし、院長のものを捨てるときは、要不要をちゃんと確認することをお勧め致します。先生がゴミ箱の前に座り込むことの無いように・・・。

そしてもう1点。それはパワーヨガです。上述した“笑顔”がだんだん、まぁるくまぁるくなって、患者さんに一層の安心感をお届けしていた私。かるくヤバイ?と言うフレーズが妙に頭に残るようになって、ついに始めました。静止時間が長く瞑想的要素が特徴のアイアンヨガと、呼吸と動作をシンクロさせたアシュタンガヨガを組み合わせ、筋トレ的要素を取り入れたのがパワーヨガです。やってみると、けっこうツライ。腕もプルプル、足もプルプル。でも痩せました。久しぶりにお会いした先生や衛生士さんに、痩せた?と言われ、メインテナンスにいらした患者さんにも痩せた?と言われ、にんまりする私。しばらくは帰宅後に行なっていたのですが、疲れて寝てしまうことや雑事に追われて忘れてしまうこともありましたので、医院でもやってみました。初めてなのに私より長くポーズをとっていられる後輩の衛生士の姿を見て、若さに負けた、と実感。驚くほど体の硬い院長。
わたなべ歯科のヨガ熱は始まったばかりです。

毎日の診療室では笑顔で楽しく過ごしたい。それは楽しくなかった時期があるから強く思うようになったことです。追われるように仕事をして、クタクタになって、不満もいっぱい、悩みもいっぱい。患者さんの前では笑っていても、余裕のない笑顔に患者さんが惹きつけられるはずもありません。それでも衛生士を辞めずになんとか前に進んで来て、様々な人に出会い、本に出会い、場に出会い、やっといろんな事を楽しめる余裕ができました。これまでずっと頑張って来られたのは、悩み、落ち込み、嫌になりながらも歩くのを辞めなかったからだと思います。一度止まってしまうと歩けない。なんとなくそんな気がして、何とか歩き続けてきました。足取りがだいぶ軽くなった今は、誰かの背中を押すこともできそうです。
もし私に会うことがありましたら、痩せた?の一言をお忘れなく!

 心のつながり

知人に紹介されて、久しぶりに美容院を変えてみました。満足げに鏡で自分を眺め、外出先ではショーウィンドウに映る自分をチェックし、写真を撮れば自分の映り具合しか見ていないその知人が良いと言うのだから行ってみよう、と思いました。口コミって大切。

片田舎の決して交通の便の良くないその美容院は、おしゃれな外観にセンスの良い落ち着いた店内。まぁこれは美容院としての最低ラインかも知れません。電話で予約を入れておいた私が店内に入ると、長山様ですね、お待ちしておりました、と笑顔で挨拶。むむ、できるな。と感じる私。この辺りから“吸収モード”に入りました。高級そうなソファに沈みながら問診表のようなものを書く。書き終わると大塚愛似の美容師さんがすかさず取りにいらして、少々待たされる視界には各コースの案内やお勧めヘアケア製品が入ってくる。

で、担当して下さるイケメン美容師さんの自己紹介。おそらく喫煙者であろう口元が残念。しかし知人を担当されている方と知り、とびきりの笑顔にこちらもつられて笑顔に。私たちの心がける担当制に通ずるところがある。で、キメ細かい問診。どうなりたいのか?自分で感じている髪質はどうなのか?等ヒザをついて聞いて下さる。
傾聴、共感の心バッチリ。そして、一通り希望が確認されて通された椅子には名前入りのメッセージカードが置いてあるではないですか。そこに書かれているのが自分の名前だと言う事に、しばらく気づきませんでした。さらにどのスタッフの方に代わっても名前で声をかけていただけて、つかの間のお嬢様(女王様?)タイムを味わえました。最後にはホームケアや次回の来店目安などの処方箋が頂けて、ここにも歯科のメインテナンスに似通うところ発見。

スタッフも、お客さんも、その空間内にいる全ての方が笑顔でいられる、素敵なところでした。最後の最後まで、禁煙を啓蒙すべきかどうか迷ったのですが・・・それは今後信頼関係ができてからのお楽しみにすることにしました。(何の信頼関係か、それは不明ですが)。
よく歯科医院のメインテナンスも、美容院に行くのと同じ様にと形容されることがあります。PMTCされることが大好きで、いつでも誰のでも練習台になる準備万端の、他の医院を見学に行ってはアポイントを取ってもらいメインテナンスを受けているような私にとっては、そこに何の違和感も嫌悪感もありません。しかし一部の方にとっては、歯科と美容院の差は埋めがたいものがあるようです。残念ながら。もちろん根本的な目的は違うのでしょうけれども。

以前わたなべ歯科に来院されたHさんは、とにかく歯科が苦手でした。Hさんの全身からは“怖い、早く帰りたい”オーラが出ていて、いつもうつむきがちなその目には、医院の雰囲気の良し悪しなど映っていない様子。歯科医院にいることをじっと耐えてらして、治療が終わると逃げるように帰っていかれる。どうなりたいか?はできるだけ歯科通院しなくて済むようにと、プラークコントロール良好。マイナスのモチベーションばっちり。
残念ながら、私は彼女の笑顔を一度も見ることなく、治療が終了、来院が途絶えてしまいました。当時の私には、彼女のどうなりたいか?を痛みをとりたい、歯科通院を早く終わらせたい、以上のものを引き出すことができませんでした。考えようによっては、う窩が塞がり、プラークコントロール良好、それで良いじゃない、と思うこともできます。
でも彼女の口腔内にはそれでも虫歯ができたのです。何年かに1度の歯科治療に耐えながら、彼女は歯を失って行くのでしょうか。ただメインテナンスに来院してさえいればう窩ができない訳ではないでしょうが、怖いから、痛いから、虫歯になりたくない、と言うHさんに、メインテナンスを通して虫歯さえできなければ怖くて痛い治療も受けなくて済む し、それ以上の喜びがあると気づいていただきたかった。

美味しいものを美味しく食べられる、見た目の若々しさ、彼女にとっての喜びが何なのか、教えていただける心のつながりを作りたかった。Hさんへの後悔から、様々な関わり方を学び、成長してこられた私。またHさんにお会いすることができたなら、今度こそ恩返しができるかも、とチャンスを待っております。

心のつながり、について、先日とても楽しく刺激的なワークショップを体験してきました。

ケアリングクラウン、をご存知でしょうか?ご存知ない方、ぜひネット等で調べてみて下さい。新しい自分に気づく入り口に立てるかもしれません。皆で、笑うのです。そして泣いて怒るのです。参加者20数名が共に泣き、笑うその姿は、端から見れば滑稽でしょう。でも、そんな風に客観的に考えてはいけないのです。感情を開放して演じることで生まれて くる感動があるのです。マスクをつければ私ってキャッツの一員?と思えるほどの場の心地良さ。一体感。“笑い”を届けて気持ちのケアをするのがクラウンかと思っていましたが、それは大きな誤りでした。クラウンの仕事の真髄は人に喜びと愛を与え、同時に自分自身も喜びと愛を受け取ること。その奥深さを知ると共に、実際に体験したワークショップのユニークさに感激しました。

笑って、泣いて、優しさに触れあい、自分自身の未成熟な部分に気づき向き合うことができました。楽しいばかりではなく、悲しい側面も合わせ持つクラウンは、患者さんと人間同士としてつながるプロです。私は普段どれだけ“ケア”と言う実感を持って診療しているだろうか、と帰路に着く電車の中で考えさせられました。そのワークショップで知り合った他職種の方から届いたメールが印象的です。
“あなたは普段ケアの役割は何をされている方ですか?”

 4月、義歯と保険改定

Tさんの入れ歯は、裏山から発見されました。Tさんが亡くなられたのは夏の暑い日。入れ歯が発見されたのはそれから数ヵ月後の、秋のことでした。

 Tさんの異変にご家族が気づいたのは、さかのぼる事約1年。同じ敷地内にある別の家に住んでいたTさんとご家族は、もともと食事は別。なにしろTさんは朝食も夕食も5時。元気な80代の女性でした。それでもお散歩や庭仕事に出てくるTさんがずっと入れ歯を入れていないことに家族が気づくのに、そう時間はかかりませんでした。

歯医者さんに行こう。と言う家族の言葉に、Tさんがうなずくことはありませんでした。
一番近い歯医者さんまで車で30分。Tさんは車が大嫌い。もう何十年も、乗ったことがありませんでした。食べられるから、と言うTさんの言葉を疑ったご家族は、もちろん食事を見に行きました。そこで、大好きなお刺身やお漬物を、美味しそうに食べているTさんを目の当たりにして、何も言わなくなりました。
しかしそれから間もなくして、Tさんの言動に少しずつ変化が出てきたのです。毎日会う孫の年齢を間違える。息子の名前を忘れる。何人分もの食事の支度をする。泊まりに来る予定のない親戚の布団を用意する。Tさんの認知症は急速に進行していきました。
足腰の丈夫だったTさんですが、家の中や周囲で行方不明になることはあっても、家から離れることはありませんでした。そして家族の名前を忘れても、自分で食べる食事は自分で用意していました。“お客様”の分も常に用意して。夏の暑い日、最期に冷たいアイスクリームを食べ、Tさんは永眠しました。
そんなTさんは、私の曾祖母です。入れ歯をなくしてからの曾祖母の変わり様に、高校生だった私は歯科衛生士へのきっかけを与えられました。何ができるかわからないまま、私は歯科衛生士の道を歩み始めました。

Sさんは、義歯を使わない方でした。食事をする時には義歯を外し、外出する時に義歯を入れます。Sさんは、昔気質 の頑固で厳しい、おしゃれな男性でした。地位の高いお仕事をされていたSさんは、人前で話したり人を叱咤したりする 時に、義歯が落ちてしまうことを気にされて、何度も歯科医院に足を運びました。そしてやっと落ちない義歯が完成した のですが、それでも食べる時には義歯を外したほうが、具合が良かったようです。落ちないけれど噛めない、無い方が何 でも食べられる、とSさんはこぼしていました。
そんなSさんは、私の祖父です。今月の頭に亡くなりました。昨年癌を宣告され、自宅療養を続けていました。食べる事が好きな人でしたから、お酒を我慢する分、好きなものを食べ、お医者様から宣告された余命より、ほんの数ヶ月、長生きしました。私が思い出す祖父の笑顔は、上顎の前歯3本が欠けています。厳格な祖父でしたが、記憶に残るのは笑顔の優 しい人でした。亡くなった時、沢山の方に見送られるからと、義歯をはめました。冷たく硬くなっていく口腔内に触れながら、もっと何かできたのでは、と後悔の気持ちが押し寄せてきました。歯科衛生士になって7年目。初心を思い出し、私にできること、を模索中です。

4月、いろんな事がありました。企画・運営に携わった歯科衛生士シンポジウム。祖父の死。保険点数改定。患者さんとの関係にも変化が訪れました。保険→自費へと移行する中での、さまざまな患者さんからの言葉が印象的です。変化を告げる中で、思いのほか患者さん方が様々な本音を語って下さいます。いくらになっても来るから、とおっしゃって下さる方。その分ホームケアを頑張るから、と本来の目的に気づかれる方。値下げ交渉をされる方。いつもとって帰られたご予約を電話するから、と早々に立ち去る方。こちらが予想していたその方の意識と異なる本音もちらほら。

今回の改定が無かったら、聞けなかったような言葉を沢山いただきました。正直、改定には不満も不安もありますが、今の私にできること、これからの私にできることを考え、目の前の患者さん方を大切に、毎日の診療を大切に、これからも頑張りたいと思います。曾祖母や祖父が、私に考えさせてくれたことを大切に、患者さんの口腔内を通し、その方の健康に貢献できる歯科衛生士目指して、邁進していきます。

 感謝する、と言うこと

5月。GWは実家での農作業、景山正登先生セミナー、月一回の勉強会が二つ、院長に騙されて規定よりも多く書いた原稿の締め切り、先輩衛生士さんの結婚披露パーティ、フォーラム東京スタッフミーティングへの参加、となかなか時間をフル活用した一ヵ月でした。
でもですね、“終わってる”と言われたんですよ。例のイケメン喫煙者美容師さんに。
 >> コラム2回目参照

彼の営業トークに乗せられて、今月は2回も行ってしまった美容院。そこで終わってる、とはあんまりじゃないですか。
そもそも、結婚披露パーティに参加するためにセットしに行った時、切ってもらいたかった前髪を、今日は長い前髪を流した方が似合う、と言われ、そのままにし、改めてカットしに行ったんですよ、私は。 知人にも友人にも話した私。人に話すことで自己客観視できてきました。

確かに言われてみれば、“終わってた”かも、この一ヵ月。医院から帰るのも遅くなりがち、帰宅したらパソコンとにらめっこ。考えてみればゆっくり夕食、なんてとっていない。時間が無いのでお風呂もシャワーのみ。気づいてみれば体重は変わらないのに体脂肪が増えている。“ダメ女”じゃないですか。しかも、いつもより沢山の方々に接する機会が多かったのに、まるで吸収できていない。今思えばもったいない!!と感じることが多いではないですか。

フッと、ある患者さんのことを思い出しました。今もメインテナンスに来てくださるその方は、私が1年目の時から担当させていただいた50代の女性です。
その頃私は、いろんなことをとにかく頑張ろう!と無我夢中の時期でした。開業したばかりで理想に燃える院長と、ベテランでパワフルな先輩衛生士。毎日の仕事を覚え、足りない知識と技術をなんとか補おう、と本を読んだり練習したり、セミナーに参加したり。
そんな時、その女性が“頑張っているのね”と、急に口にされました。その当時は深く考えもせず、“ここは先生も先輩もとても熱心ですから”と答えました。するとその方から、“でもね、頑張る度合いは人それぞれ。人に合わせて頑張らなくて良いのよ。”と思いもかけない言葉が返ってきました。
今思えば、診療でしか接していないはずの彼女が、何のことを指して言ったのか、よほど必死に一生懸命にやっているように見えたのか。でもその言葉を聞いて、急に肩の力が抜けて言ったのを覚えています。無理せず自分なりにできることを頑張れば良いんだ、と。疲れた時、行き詰った時、彼女の言葉にどれだけ励まされたことか。
その女性に、今でもとても感謝しています。そう思うと、患者さんに、先生方に、先輩や後輩衛生士に、とにかく私と接して下さるいろんな方に、見守られ、支えられ、育てられてきた私。

改めていろいろあった今月のイベントを振り返ってみると、沢山の“感謝”しなければならない現場に遭遇していた私。自分自身の感謝の形、とは別の、多くの方の感謝の形も目の当たりにしていることに後になって気づきました。
だんだんと仕事に慣れ、それなりに忙しくなり、やらなければいけないことが増え、“人に感謝する”心がなくなっていたのかも知れません。気づいてみれば、私は今月何のために忙しかったのか?セミナーに参加して?原稿を書いて?スライドを作成して?で、そこから何を得たのか?何のためにそれらを頑張ったのか?
ただ単に忙しい毎日を過ごしていたのでは、そこから得られるものは何もありませんよね。 セミナーに参加すること、原稿を書くこと、スライドを作ること、が目標になってしまったのでは、本末転倒。何にも成長しませんよね。
そう言えば昔読んだ本に書いてありました。“不満を感じる時は人に感謝する心を忘れている”。いろんな面で、それを痛感した一ヵ月でした。


 感謝する、と言うこと・2

先月に引き続き、感謝の話。 人は心から感謝すれば必ずそれを形に表す、と以前出席したセミナーで言われたことがあります。感謝の心を形で表す、と言うと、“言葉で伝える”“物を送る”“態度で示す”の3つが思い浮かびます。もちろん、感謝した内容や対象によるのでしょうが。

“感謝”“感謝”と連呼すると、まるで感謝することが善で感謝しなければ悪のような誤解を生じさせてしまうかもしれませんが、本当の意味での感謝、は何の駆け引きも意識も働かないものだと思っています。感謝する閾値は人それぞれでしょうけれど。私はできるだけ感謝の閾値を広げておきたいと、先月の出来事を通して実感しました。

感謝を形で表すとき、一番難しいのは“態度で示す”ことかな、と思います。言葉や物は表面化させやすく、相手にも伝えやすい、伝わりやすい、から。感謝を示す態度は決まっていません。相手にもわかりにくいかも知れません。感謝を伝えるために何をしたら良いか、様々な発想があるでしょう。

私には到底思いもつかないことをやってのけている方に出会いました。マーク・ギブンスさん。
オーストラリアの看護師さんです。オーストラリアと言えばコアラ。コアラと言えばオーストラリア。そんなオーストラリアへの帰国を前に、マークさんは日本人に感謝の気持ちを伝えたい一心で、日本縦断を決意され、行動に移しました。
何故日本縦断なのか?はマークさんのいでたちを見れば一目瞭然。“禁煙は愛”と360度どこから見てもわかるお遍路さん姿で、禁煙を訴えて回る全国行脚なのです。看護師さんであるマークさんは、タバコによる被害に苦しむ沢山の方を目にしてこられたそうです。私たちには想像もできない臨床の現実がそこにはあったのでしょう。
禁煙を訴えるマークさんのまなざしは真剣そのもの。沢山の恩を受けた日本で、少しでも多くの日本人に感謝の気持ちを伝えたいと、行動に出たのです。春日部に到着する6月1日。私は2時間弱マークさんとともに歩ませていただきました。沿道をただただ歩くことがどれだけ禁煙のアピールになるのか、正直疑問もありました。マークさんは、決して有名人、と言うわけではありません。2○時間テレビのようにメディアがついてサポートしてくれるわけでもありません。感謝を態度で示す、とは言っても、マークさんの行動が自分達への感謝として行なわれていると気づいた方はどれだけでしょう。
私自身、禁煙を訴えて歩いている彼の行動信念が感謝だとは、伺って初めて知りました。それでも彼の目は常に前を見据えて、迷いはありません。炎天下の中、雨の中、日本人への感謝の気持ちを込めて、彼は歩き続けているのです。

歯科衛生士として診療室で禁煙をお勧めするとき、支援するとき、私の心の中に感謝の気持ちがどれだけあったでしょうか。もちろん全ての患者さんのこれからのために、心から禁煙をお勧めし、支援し、成功を喜んでいますが、それは言葉であり、ニコチンパッチのような“モノ”であり、禁煙達成そのものが目標であります。
マークさんに出会えた事で、私の中には禁煙への新たな想いが生まれました。歯科衛生士になって皆さんに関わらせていただいて丸6年。歯科衛生士の卵の卵だった私を、ここまで育てて下さった院長と患者さん。私の知る限り誰よりも禁煙に熱い院長。私に沢山の気づきと喜びを与えて下さった患者さん。私が禁煙を働きかけることは、そんな皆さんへの恩返しになるに違いない。そう思えたら何だかわくわくしてきました。

マークさんとの禁煙ウォーキング。足の裏に豆ができたことで2時間弱でのリタイアになりましたが、そこから得たものは私の中での大きな財産になりそうです。 マークさん、本当にありがとうございました。

 通勤時間って

皆さんは診療室には、何で通勤していますか?

歯科衛生士になって7年目。学生の頃を含めての8年。私はずっと電車通勤です。(1年生の頃は学校のすぐ近くに住んでいて、自転車だった)。通っていた学校と今の診療室は電車で一駅。時間も景色も大して変わらなかった。
特に朝は同じ時間の同じ車両に乗っていたので、だいたい同じ顔ぶれもちらほら。しかも下りで空いていたので、降りる駅や乗ってくる駅なんかがわかってしまう。たまにもうすぐ降りるはずの人が熟睡していたりすると、妙に気になったりしていました。

そんな私の通勤風景が変わったのは昨年2月。嫁に行った妹に置いていかれて、引越しを余儀なくされました。便利だった東京を離れて埼玉へ。不動産屋さんで粘って唸って、ぴかぴかの新築物件を見つけてもらいました。駅徒歩7分は良いのだけれど、通勤時間は電車で30分。しかも、座れない。

都会のような満員電車ではないけれど、前のように余裕で座って寝て過ごすわけにはいかなくなりました。つり革につかまりながら、以前とは違う景色を眺めて、往復1時間。寝ていられた頃は考えなかったけれど、妙に無駄に感じられるようになったのです。もったいない!
いろいろやりたいことはあるし、やらなきゃいけないこともたまっているので本当はパソコンを開ければ良いのだけれど、そうはいかない。誰かが小さいノートパソコンを買ってくれれば話は別ですが、そう上手くもいかない。上手く通勤時間を活用するために、カバンに常備されることとなったモノ達がいます。

まずは、手帳。自分のスケジュールのやりくりといろいろ考え付いたことを書き留めておくのに必須。行きも帰りも診療室のこと、患者さんのこと、セミナー、企画、原稿、休日の予定、等々、何でも書いておかないと忘れているのだ。
そして、携帯。診療終了後に見ると沢山のメールが入っている日と入っていない日がある。何十件も入っていたりすると帰りの電車はずっと携帯とにらめっこ。返信に追われたりする。でも、電車の中で携帯しか目に入っていない状況の人って、端から見ていてあまり好きじゃない。メールが全然入っていない日も寂しいので、ちょうど良いって難しい。

それから、音楽。今は携帯やi-podなんかで格好良く聞いている人も多いけれど、私はまだMDの人。お気に入りの曲なんかがある時はしつこく聞いています。それと、本。小学生の文集には趣味の欄に“読書”って書いてある。高校の時は文学部の部長も務めた。今も本はよく読んでいます。何でも乱読するけれど、電車の中で読むとなると難しい。無難なのは文 庫本ですが、読みたい本はそうとは限らない。ハードカバーの本は持ち歩きが重いし、電車向きじゃない。
英語の文献や本は賢く読みたいけれど意味を理解するのに必死。ビジネス書は共感できるところにマーキングしながら読むのだけれど、よろけて自分の手にマーキングしたことが数回。歯科関係の本は写真が多いものは隣の人の視線が気になったりする。でも好きな本がカバンに忍ばせてあるのは、結構楽しいし好きです。知識や、自分の内面も外見も磨けたりしますし。最近とっても面白い本を見つけて、かなり通勤が楽しかったりしています。でも、“読書”は残念ながら優先順位の下の方。だいたい他の事に時間を持っていかれることが多いのですけれど。
そして大活躍しているのがB5サイズのクリップボード。これはセミナーに行って机がなかった時にも役立つし、電車の中でも物が書きやすいんです。皆さんも衛生士業務記録、書きますよね。診療中に書ければ良いのですが、アポイントが埋まっていたり、バタバタと他の仕事をしていたりで結局診療後に書いたりしていました。

最近はそれを電車で書くことが多いです。その分早く帰って家での時間や晩御飯を充実させたい。寝に帰るだけじゃせっかくの新築物件が泣いているようで。それに美味しいものを食べたり流行のドラマを見たりヨガをやったり長湯したりバランスボールで転がったり長電話したりものすごく早く寝たり、自分の時間を楽しむことで患者さんとの会話も弾むし仕事の活力になると思うのです。いつも何が入っているの?と聞かれるマイバック。重たいはずですね。
でも電車の中での時間をフル活用することで、衛生士としても自分としてもステップアップできている気がします。まぁよろけないようにしっかり立って、あれやこれやせわしなく何かしている姿が、素敵な大人の女性かどうかは別として・・・。

 お盆から学ぶ

私の実家は栃木県の北の方にあります。
実家に帰ってセミの声を聞くと、夏だなぁ、って実感できます。
診療室のある埼玉にもセミはいますが、ビルの隙間やアスファルトに囲まれた街路樹にへばりつき、車や人の往来の雑音に混じって聞こえてくるセミの声は、どうも好きになれないのです。
やっぱりセミは、うるさいくらいに鳴き、わめき、木々の間にいながらも存在感を発しつつ、夏休みの子供に発見され、おしっこをかけて逃げるくらい堂々としていて欲しいのです。実家を囲む山々にいるセミは、まだまだ元気に鳴いていました。そして、それを狙う子供達も沢山。今年のお盆は、そんな子供達から学んだことがありました。

先だってこのコラムにも書かせていただいた通り、今年長山家は祖父が亡くなり、初盆を迎えました。以前曾祖母が亡くなった際の初盆の記憶はほとんど無いのですが、ご近所の方々の初盆を毎年どこかしらで見るにつけ、大変そうだなぁ、と呑気に思っておりました。
地方の初盆、とは一大イベントなのです。亡くなった方が恥ずかしくないよう、迷わず帰ってこられるよう、準備を整えなければなりません。夏休み前の診療室の大掃除の1日をお休みさせていただき、田舎へ帰りました。

12日。まずは“お盆様”の製作です。親戚の手を借りて、竹を切り、穴を開け、組み立て、ヒバを挿し、ほおづきを飾り、遺影やお線香、果物や盆ちょうちんなどを飾る棚を中に入れます。周りに生花やいただいた盆ちょうちんを並べ、亡くなった方を迎える準備が整います。
家族皆でお墓にお迎えに行き、迎え火とともに帰宅。今度は13日、14日とお客様をお迎えする準備に取り掛かります。ビールを冷やし、料理を作り、鮎を焼き、お返し品を並べ、いらした方々にご挨拶。家族だけでなく、親戚のありがたみをよーく味わいました。そんなこんなでお盆は過ぎて行ったのですが・・・。
集まる親戚の中に、私が歯科衛生士を生業にしていることは浸透したようです。会うとたいてい歯科相談。個人的には“健康を守る”意識を浸透させたいのですが、8割がた現状への不満や修復の相談です。

入れ歯のここが合わなくてさぁ、とわざわざ入れ歯を外して見せて下さった叔父様。ここの歯が痛いんだけど見てくれる?と大きな口を開いて下さった叔母様。見ますよ。見ますけれどね、歯科は設備がないと何もできないのですよ・・・。

どちらもPDとFCKが、ピカピカに光っていました。ではなくて、皆さんちゃんと歯科医院に行きましょうね。そしてご自分のリスクを知りましょう。これからどうしたら良いのか知りましょう。一度治療したところがまたむし歯になるのは、治療が下手なのではなくて、お口の中がそう言う環境だと知りましょう。その上で、ご自身の歯や歯肉を守っていくために歯科医院はあるのです。そうなの!?と目を丸くされていた叔父様、叔母様。

少しずつメインテナンスの輪が広がっていくと嬉しいです。でもこちらにも責任はあるのですよね。
皆さんの“想い”とこれからをお話できる環境が少ないのですよね。もっともっと診療室に来てくださっている皆さんのお話を伺いたい!と思いました。本当に、皆さんそれぞれご自身のお口の中について考えてらっしゃるのですね。沢山の方の本音を聞いて、刺激を受けました。
そして、子供達。従兄弟や、従兄弟の子供や、近所の子供達。沢山の子が来ては騒いでおりました。クーラーのある部屋は大人に占領され、暑い日差しの中やれセミがいた、蛇がいた、鮎が焼けた、スイカが潰れた、と大騒ぎ。騒げばノドが乾きます。
冷えた飲み物を取りに来る子供達。いつもジュースを飲んでいる子はやっぱりジュース。お茶を飲んでいる子はやっぱりお茶。お水。暑いからすぐノドが乾くのでしょう。何度も何度も水分補給する度、どちらを飲んでいるか見かける姿はいつも一緒。診療室でよく聞くセリフがあります。
“急にジュースを止めるのは可愛そう” “気をつけて、減らすようにしました”。子供に減らす、気をつける、なんてことは無理だよねぇ、とその姿を見ていて思いました。でも、じゃあ、お茶を飲んでいる子は可愛そうですか?ジュースをあげないと喜びませんか?やっぱり“ジュースをあげれば喜ぶ”と言う価値観のもとに、ジュースを与える大人が、その子の価値観も作るのですよね。誰だって子供が喜ぶ姿は嬉しいですよね。
子供を喜ばせたいですよね。でもその時に、“お茶よりジュースをあげれば喜ぶだろう”と言う価値観が与えるのは、甘い笑顔だけではありません。一緒にジュースを飲むお母さんの姿に、しみじみそんな事を思いました。ある勉強会で、聞いた言葉です。“言っても勝手に飲んじゃって、ではなく、こんなに小さな子が我慢するんですよ。お母さんも一緒に我慢しましょう。冷蔵庫にジュースを入れておくのを止めましょう。”ある衛生士さんは、お母さんによくこう訴えるそうです。
“私たちは、あなたがむし歯をつくらないように頑張ろう!と思って下されば精一杯応援します。この子がむし歯にならないために、最大限協力します。でも、むし歯になっても治療すれば大丈夫、その時に治療すれば良いや、と思っているのでしたら、できることはありません。”むし歯のない子を育成する、それがその子にとってどんなに素敵なことか。熱い想いを再確認した夏でした。